健康・医療について

~ 健康・医療について ~

 

● 糖尿病マウスに対する餌の影響
正常マウスの腎臓(紫)と糖尿病モデルマウスの腎臓(赤)は、プロット図では2つのグループに分かれます。プロット図から、糖尿病マウスは、正常マウスに比べて酸化的であると結論できる点がサルファーインデックスの特徴です。酸化・還元の指標は多数ありますが、一番の理由は、酸素が1 ppm以上あると存在できないSulfite-bimaneが左側に位置している点です。
糖尿病マウスに与える餌からの影響をサルファーインデックスで解析を行うと、糖尿病に効果がないとされているものを含む餌を与えたマウス(青)は、糖尿病マウス(赤)と同じところに区別されます。一方、これまでに効果が知られている分岐差アミノ酸などを与えた糖尿病マウス(黒)は、左に大きくシフトし、正常マウスに近づいています。
新規に糖尿病に効果のある物質をスクリーニングする場合、サルファーインデックス解析がその指標となり、緑色で示される試験食品も一つの候補であると推察できます。




● 次世代シーケンサとの統合解析:サルファーゲノミクス
次世代シーケンサで存在が明らかにされた9割以上の微生物は、分離・培養することが困難であり、さらに微生物叢の膨大な種の中から、どの微生物種が重要なのかを絞りこむ方法は課題です。後者についての解決策として、サルファーインデックスを活用した事例を紹介します。
口臭の強いと思われる高齢者の男女と,対照者として20代の男女の37人の歯垢サンプルについて,次世代シークエンサー(Miseq)を用いた菌叢解析を行った結果,膨大な微生物叢データのみから明白な相関因子を見つけ出すことはできませんでした。しかし、菌叢解析結果とサルファーインデックスを組み合わせた「サルファーゲノミクス」で絞り込みを行うと、高齢者と対照者にある相関を見つけだすことができました。
統合解析は別途費用が掛かります。
文献1:微生物が有する硫黄代謝の魅力と展望, ケミカルエンジニヤリング, 63, 66-72, 2018






● 疾患マーカーの探索
硫黄代謝物は、生理機能調整に深く関わっているので、健康状態によって大きく変わります。疾患マーカー探索の指標に、サルファーインデックスは有用です。血液、尿、唾液、糞便、いずれも解析可能です。



● 細胞培養管理
多能性幹細胞の増殖性維持や分化能維持に、硫黄化合物(メチオニンとSAM)が深く関わっています。また、抗体医薬を産生する細胞であるCHO細胞はシステインを多く要求します。細胞培養管理の指標にサルファーインデックスは最適です。